トップ > ORCAとは > 日医IT化宣言 > 「日医オープンソース使用許諾契約」 説明資料

「日医オープンソース使用許諾契約」 説明資料

このたび、日本医師会は、医療のIT化を推進するため、「日医オープンソース使用許諾契約」を採択することと致しました。一般のオープンソースとは、プログラムやデータベースをその著作権を放棄することなく、誰もが自由に利用できるようにしたものです。「日医オープンソース使用許諾契約」は、そのオープンソースの考え方を元に、独自に作成し、医療情報システムのプログラムや医療データベースをこの使用許諾契約に則ってさえいれば、誰もが自由に利用できるようにしたものです。
日本医師会は医療のIT化を、国民に良質で効率的な医療を提供するための国家的使命の1つと位置付け、これまで、進化型オンラインレセプトコンピュータシステム(コードネーム「ORCA(オルカ)」)プロジェクトを推進してきました。今後、「日医オープンソース使用許諾契約」に沿って、このプロジェクトで開発してきたプログラムおよびデータベースを公開します。これにより、医療情報交換の標準化を効率的に行うことができ、医療のIT化を大きく前進させるものと期待されます。

「日医オープンソース使用許諾契約」採択の背景

現在、全国約10万箇所の医療機関の8割以上が、毎月の診療報酬を請求するため、専用コンピュータ(レセコン)を使用しています。このレセコンは、主に民間企業主体で開発・販売され、メンテナンス費用を含めると、高いものでは700万円から800万円、安いものでも300万円から400万円の投資が必要でした。また、それぞれの企業が独自に開発を進めた結果、データの形式にほとんど互換性がなく、ネットワーク化も進んでいません。
そこで日本医師会では、医療のIT化、医療情報の標準化を進めるために進化型オンラインレセプトコンピュータシステム(コードネーム「ORCA」)プロジェクトを立ち上げ、その1つの手段として、ネットワーク端末としても利用できるレセコンの開発に着手してきました。そして、これを日本医師会独自のものにおしとどめることなく、国民に良質の医療を提供するため、広く一般に利用できるよう公共財的な位置付けで、このプログラムを公開することを決定しました。

オープンソースとは

現在注目を集めているLinux(リナックス)がオープンソースの代表例です。Linux(リナックス)とはコンピュータの基本ソフト(オペレーティングシステム:OS)の1つで、マイクロソフト社のWindows(ウィンドウズ)と同様の役割を果たすものです。しかし、Windows(ウィンドウズ)は代金を支払って購入しなければならず、プログラムをコピーしたり無断で改良することも禁止されています。これに対して、Linux(リナックス)では、インターネットや媒体を介して、誰でもそのプログラムを入手することができます。コピーや、改良を加えることも自由です。このようなコンセプトのもとにプログラムを公開することを「オープンソース」といいます。

オープンソースで期待されること

日本医師会で開発したレセコンは、基本ソフトにLinux(リナックス)を採用し、その上で動作するプログラムです。Linuxは一般に市販されているコンピュータで動作しますので、今までのようなレセコン専用機は必要ありません。レセコンのプログラムが無償ですので、大幅なコストダウンも可能です。
また、プログラムはさまざまな人によって「日医オープンソース使用許諾契約」に則った改良を加えることができるので、個人やベンチャー企業のプログラム改造への意欲をかきたてることも期待できます。従って、よりスピーディーでより効果的な発展の可能性が膨らみます。レセコン部分だけでなく、電子カルテなど、さまざまな医療ITツールも生み出されるでしょう。このようにオープンソースは市場に大きなビジネスチャンスを生み出すことになり、ベンチャービジネスの振興や雇用の創造に寄与することにつながります。

データベースも公開します

日本医師会では、レセコンのプログラム部分だけでなく、医療情報の標準化を進めるため、医療情報データベースも「日医オープンソース使用許諾契約」に則って公開します。ただし、通常のオープンソースの考え方と違い、「日医オープンソース使用許諾契約」の特徴の1つに、この医療情報データベースの人の健康に関わる物(医薬品マスター、併用禁忌マスターなど)に関しては改変後の再配布(コピー)を禁止しているという点があります。
医療のIT化は国民の大きな期待を担うものです。しかし、さまざまな企業による「先導者なきシステムの普及」のもとに、現状は標準化もネットワーク化も達成されない混乱した状態にあります。そこで日本医師会は、医療のプロフェッショナル集団として日本医師会こそがイニシアチブをとる必要があると判断しました。そして、国民に期待される医療の提供に結びつけるため、日医独自のオープンソース使用許諾契約に則ったデータベースも含めた公開に踏み切ったのです。

プロジェクトの今後

進化型オンラインレセプトコンピュータシステム(コードネーム「ORCA」)では、47都道府県の104医療機関で実証実験を終了しました。近く、プログラムをダウンロードするためのネットワークセンタを立ち上げます。また、診療報酬の改訂データもネットワークセンタから提供する予定です。現在は外来だけの処理機能ですが、来年度には入院の処理機能も付加します。その後、個々の医療機関が独自の電子カルテを開発できるよう、電子カルテ開発キットの供給も行ないます。更には、医療の質向上のための生涯教育プログラム、感染症の流行情報、医薬品の副作用情報、診療ガイドラインなど、医療機関だけでなく、国民に役立つ医療情報データベースを提供していく計画です。
また、情報の双方向の交換によって、客観的なデータに基づいた、公正な医療政策への提言が可能となります。

トップ > ORCAとは > 日医IT化宣言 > 「日医オープンソース使用許諾契約」 説明資料

このページのトップへ